577: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/11/26(土) 12:09:29.95 ID:K66c2REr0
千歌さんだった。
彼女は腰のボールベルトからボールを外して、ポケモンを出す。
「──グゥオ」
しずく「ルカリオ……?」
千歌さんのルカリオが私に近付いてきて、手をかざすと──ボォっと青いオーラのようなものが見えた。
千歌「今、しずくちゃんの波導をルカリオに覚えてもらってる」
しずく「波導……?」
千歌「人の持ってるエネルギー……みたいな感じかな? 波導は距離が離れてても、集中してれば、ある程度感知が出来るんだ。だから、こうしてしずくちゃんの波導を覚えさせておけば、もし何か異常があったときに、すぐルカリオが報せてくれる」
しずく「……監視、ということですね」
千歌「うん。もし、しずくちゃんがウルトラビーストと遭遇したり、それこそ発作が起こるようなことがあったら、すぐに飛んで行くから」
──飛んで行く……というのは、私にとってプラスな理由だけではなく……発作が起こるようなことがあったら、今度こそ医療施設に入ってもらう、ということでもあるのだろう。
ただ、今は私の身を慮って言ってくれた提案を蹴って、無茶な要求を聞いてもらっている立場だ。これくらいの条件は付いていて当たり前。
しずく「わかりました」
千歌「穂乃果さん、彼方さん、遥ちゃん。それでいいかな?」
千歌さんが、3人に確認を取る。
遥「……わかりました。ただ、しずくさん、無茶だけはしないでくださいね……」
彼方「みんなが納得してるなら、彼方ちゃんからはこれ以上何か言うつもりはないよ〜……」
穂乃果「……わかった。ただ、しずくちゃんにはいくつか注意して欲しいことがあるんだけど……」
しずく「注意してほしいこと……ですか?」
穂乃果「何かおかしな気配を感じたら、何がなんでも逃げるのを優先すること。異常を感じたら、真っ先に私たちの誰かに連絡をすること。出来るかな」
しずく「は、はい……! もちろんです……!」
私が穂乃果さんの言葉に首を縦に振ると、
穂乃果「うん、ならオッケー!」
先ほどまで神妙な面持ちだった穂乃果さんは、柔らかい雰囲気で笑いながら、許可をしてくれたのでした。
彼方「そうと決まったら、今日は早く寝るんだよ〜? 明日からまた旅が始まるんだから〜」
しずく「は、はい……! そうさせてもらいます……!」
気付けば随分深い時間になりつつある。
明日もかすみさんと、ポケモンたちと共に旅を続けるのであれば、しっかり睡眠を取って明日に備えなければ。
寝室に行くために、リビングを出ていく際、
しずく「……皆さん、私のわがままを聞いてくださって……本当にありがとうございます」
もう一度、深々と頭を下げてから、部屋を後にしたのだった。
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