3: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/10/30(日) 00:13:39.26 ID:QLy5TvuG0
❓ ❓ ❓
──ローズシティ。ニシキノ総合病院のとある一室。
聖良「…………」
綺麗な顔をしたまま、ベッドの上で何年も眠り続けている彼女の顔を見る。
──ピ……ピ……ピ……と、無機質なバイタルサインの音と、呼吸とともに僅かに上下する胸の動きで、まだ生きていることはわかった。
この地方を大きく揺るがすこととなった、グレイブ団事変から、すでに3年が経過しようとしている。
そのグレイブ団のボスも……勇敢なトレーナーたちに阻まれ、敗北し、その代償として今もなお眠り続けている。
こうしてわざわざ彼女の病室に忍び込んだのは……彼女への贖罪のつもりなのだろうか。それとも、同じ轍を踏まないための自分への戒めか。
我ながら、鬼にでも悪魔にでもなる心づもりだったのに、夢を語り、野望を胸に、戦っている人間を利用するのは……いや、利用したのは──胸が痛む。
それでも──選んだから。彼女がそうしたように、自分の目的のために、何かを犠牲にしてでも──取り戻したいものがあるから。
「…………」
最後に彼女の顔を一瞥して、病室を後にする。
もう迷うつもりはない。きっと……最後の迷いを断ち切るために、ここに来たのだ。
だから、迷わずに、進む。
何を犠牲にしてでも──取り戻すと、決めたのだから。
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