294: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/11/11(金) 16:13:39.87 ID:xkYIlSIn0
それこそ、今までに数え切れないほどのスボミーを見たと思う。
彼らは私の足音を聞くだけで、花や草木にすぐに隠れてしまうくらい臆病だった。
基本的に群れを成して、身を寄せ合い、暖かい場所で温厚に暮らしている。
そんなスボミーたちと掛け離れた行動をしている目の前のスボミー……どうしても、理由がある気がしてならない。
恐らく、凛さんも同じように考えていたからこそ、穏便に、慎重に事を進めていたのではないだろうか。
「……しずくちゃんはお人好しロトね」
私が自分の考えを話すと、ロトムはまるで溜め息でも吐くかのように言う。
しずく「だって、本当の自分を知ってもらえないまま……理解してもらえないまま、一人ぼっちになるなんて、寂しいじゃないですか……」
「ロト?」
──『しずくちゃんの言ってること、難しくてよくわかんない』
しずく「…………」
不意に思い出した、幼い頃の記憶を頭を振って掻き消しながら、
しずく「みんな、行こう!」
「メソ」「マッネ!」「ピピィィ〜」
私は再び駆け出す。
💧 💧 💧
──私が全力で走って追いついたころには、事態は悪い方向に進んでいた。
町人「よし!! 捕まえたぞ!!」
しずく「……!?」
何かを囲むようにして、集まる大人たちの中心からそんな声が聞こえてきた。
大人たちの集団の中、僅かな隙間の先に見えたのは──虫取り網を上から覆いかぶせられたスボミーの姿。
しずく「いけない……!!」
そんな刺激の仕方をしたら……!!
「スボォォーーーー!!!!」
町人「う、うわぁ!!?」
スボミーがボフンッ!! と大きな音を立てながら、周囲にとんでもない量の花粉を噴き出した。
視界を覆い尽くさんばかりの量の花粉。これはまずいと咄嗟に口と鼻を腕で覆うようにして、吸い込まないようにする。
「“しびれごな”ロト!!」
上から響くロトムの声。そして、前方から、
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