249: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/11/09(水) 11:47:58.35 ID:hVp6cgNM0
🎀 🎀 🎀
──コメコシティ、ポケモンセンター。
歩夢「…………」
侑「…………すぅ…………すぅ…………」
「ブイ…」「ワシャ…」
歩夢「…………」
「シャボ」「バニー…」
薄暗い部屋の中、静かに寝息を立てる侑ちゃんの傍らに座って、ただ黙っていた。
聞こえるのは侑ちゃんの寝息と、ときおり心配そうに鳴き声をあげるポケモンたちの声だけ。
歩夢「…………」
──ガチャ。薄暗い部屋のドアが開いて、廊下から少しだけ光が伸びてくる。
私はその光源に向かって、ゆっくりと顔を上げる。
愛「歩夢、ゆうゆ眠ってるだけだって先生が言ってたよ」
歩夢「……」
愛「少しだけど、電撃を浴びちゃったからね……。戦闘が終わって気が抜けた拍子に、そのときのダメージと疲労で気を失っちゃったみたいだね。でも、大きな怪我をしてたわけじゃないし、明日になれば目を覚ますだろうって」
歩夢「……」
愛ちゃんの言葉に多少の安心こそしたものの、私の心中は穏やかじゃなかった。
言葉が出てこないまま、私は再び眠ったままの侑ちゃんに視線を落とす。
侑「…………すぅ…………すぅ…………」
歩夢「……」
愛「歩夢……。みんな無事だったんだからさ、よかったじゃん」
歩夢「…………」
愛「トラブルはあったけど、全員無事にコメコまで来られた、それで──」
歩夢「私……約束、したの……」
愛「え?」
歩夢「侑ちゃんになにかあったら……私が、守る……って……」
愛「……」
なのに、私は──
歩夢「私……侑ちゃんに、守られてばっかりだ……」
研究所での騒動のときも、ゴルバットの捕獲のときも、カーテンクリフでの落石のときも。
真っ先に侑ちゃんは飛び出して、私や私のポケモンたちを守ってくれたのに。
私は──
歩夢「……私……ラクライが飛び掛かって来たとき……怖くて、動けなかった……」
侑ちゃんだったら、自分の危険を顧みずに、私を助けてくれたのに。
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