217: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/11/08(火) 14:41:27.63 ID:YYNh6Lpr0
水自体は電気を激しく通すが、水の中から、電気が空気中に逃げていくのは伝導率があまりに違い過ぎて、簡単に行かないはずだ。
溜まった水に沈められたら、全身電気で出来ているロトムにとっては、檻も同然になる。
「ロド、ロドドドドド!!?!?」
しずく「苦しいでしょう……? メッソンの涙は、タマネギ100個分の催涙成分を持っていますからね……! 近くにいるだけで、涙が止まらなくなる水に閉じ込められたら、どんなに強くても無事ではいられないはずです……!」
後は缶を押さえながら、ロトムが諦めるのを待つだけだ。
私は自分の体重を乗せて、上から缶を押さえつける。
その際、一瞬──
しずく「──……っ゛……!?」
全身を電撃が走るような衝撃があったけど、手は離さない。外になんか絶対逃がさない。そんな強い意思で、缶を押さえ続けていたら──10秒もかからずに、ロトムは大人しくなった。
しずく「……か、勝った……」
「メソ…」
私が安心してへたり込むと、メッソンが泣きそうな顔で寄り添ってくる。
しずく「……ありがとう、メッソン……。メッソンがずっと、透明になって姿を消していたから、ロトムが勝手に私にはもう手持ちがいないって勘違いしてくれたよ……」
「メソ…」
正直かなりギリギリの戦いだった。恐らく全身超強力な催涙液に浸からされて、気絶しているだろうけど……。
しずく「ボールに入れるために、水中から出すのも危険だよね……」
私はバッグの中から、ゴム手袋を取り出す。出来るだけ水を零さないように、素早く缶を上向きに戻した後、ロトムが潜んでいる壊れたポケギアごと、ゴム手袋の中に流し込んで口を結ぶ。
しずく「このまま、ポケモンセンターに連れていこう……」
「メソ…」
お陰で、手持ちもメッソン以外、戦闘不能になってしまったし……。
念のため、もう片方のゴム手袋も使って、二重に縛ったのち、私は歩き出す。
しずく「そういえば……」
「メソ…」
しずく「どうして、メッソンは“こんらん”していなかったんだろう……?」
ロトムに追い詰められた際、姿を隠したメッソンが私の手の方に移動してくる感覚があったから、エスパー少女の芝居を打ったわけだけど……。
“フラフラダンス”はその場にいる全てのポケモンを“こんらん”させる技だ。
すぐ戦闘不能にさせられたココガラもだが……メッソンも例外ではなかったはず。
そんな私の疑問に答えるように、
「メソ…」
メッソンは小さな黒い欠片を、丸まった尻尾の中から取り出す。
しずく「それ、もしかして……“もりのヨウカン”の欠片?」
そこでふと思い出す。“もりのヨウカン”をポケモンが食べたときの効果って、確か──
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