198: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/11/07(月) 12:35:46.46 ID:HEs2RhQZ0
しずく「何?」
かすみ「あの人……なんか変じゃない?」
しずく「あの人……?」
かすみさんの視線を追うと──サングラスを掛けて、マスクと深めの帽子に、長めのコートを羽織ったお姉さんの姿。
しずく「変というか……」
一周して、変装しているのがバレバレな気がする。
しずく「有名なコーディネーターさんなのかな……?」
コーディネーターは人によっては人気すぎて、会場に辿り着けずに失格になるなんて事態が発生することがあるらしい。
だから、コンテストクイーンは会場内に居住区を持っているなんて噂さえあるくらいで……。
しずく「たぶん、変装してるんだと思うよ」
かすみ「いや、服装のことじゃなくて……」
しずく「?」
言われてもう一度、彼女に視線を戻すと──
「…………? …………」
何度も、手元の端末らしきものを確認しては、キョロキョロと辺りを伺い、また確認に戻って、また辺りを見回す。そんな行動を繰り返している。
あの端末……確か、ポケナビだっけ? 地図や通話機能を持っている端末だったはず……。
しずく「もしかして……道に迷ってる……?」
かすみ「そんなわけないでしょ……この島、港からここまで一本しか道なかったよ?」
しずく「確かに……。……ま、まさか……!」
かすみ「まさか……?」
しずく「密売人……とか……!」
かすみ「えぇ!?」
しずく「わざわざ島まで足を運んで、しきりに端末を確認している……いかにもだと思わない……?」
かすみ「い、いや……あんな目立つ場所で確認しなくても……」
しずく「それがカモフラージュなんだよ! 木を隠すなら森の中って言うように、人を隠すなら人の中! むしろ堂々としてる方が見つからないんだって!」
かすみ「じゃあ、なんで変装してるの!? 矛盾してない!?」
しずく「きっと、あのコートの下にいろんな秘密兵器が──」
お姉さん「──貴方たち、ちょっといいかしら?」
しずく・かすみ「「!?」」
気付いたら、怪しいお姉さんが目の前で、ベンチに座っている私たちを見下ろしていた。
しずく「な、ななな、なんですか……!?」
動揺で声が上ずる。ま、まさか今の会話を聞かれていて、私たち、消され……!?
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