忍野忍「そろそろ子供が欲しい」阿良々木暦「は?」
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3:名無しNIPPER[sage saga]
2022/10/25(火) 23:16:39.02 ID:XI5AxasUO
「なあ、忍」
「なんじゃ、我が主人様よ」
「なんで急に子供が欲しくなったんだ?」

改まって訊ねると、忍はさらりとこう語る。

「今の儂は吸血鬼とも呼べぬ搾りかすじゃ。いつ死んでもおかしくはない。思えば、儂が死ぬ間際にお前様に縋ったのは600年生きた自分という存在が無くなるのが怖かったからじゃ。今でもその恐怖が全くないと言えば嘘になる。じゃから、血肉を分け与えた子供が居ればもう怖くないと、そう思ったんじゃ」

忍が吐露した気持ちは、感情は、かつて瀕死の吸血鬼を救った僕が聞き流せるようなものでは到底なく。忍の肩に手を置き繰り返す。

「忍。前にも言ったけど、お前が明日死ぬのなら、僕の命は明日まででいいと思ってる」
「その気持ちは嬉しいが心中しても無じゃ」

残された者どころか、遺す者が居ない。無。

「儂はお前様と共に生きた証を残したい」
「忍……」

生きた証。それは美しい。だけど知ってる。

「それは正しくない」

かつて僕は美しくはあれど正しくなかった。


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