60: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/27(水) 23:25:39.11 ID:1bYMbS4jO
しかし、二つの案は付け焼刃同然で作成したもので、とても代案とは呼べなかった。
あくまでも心情を考慮したものでしかなく、魔法少女の能力に頼るのが最適解だった。
二つの代案に視線を落としていた雫は、小さく肩で溜息をついて顔を上げる。
「……ミラーズは海外に繋がる鏡があるか分からないし、ミラーズを使うのはリスクが高すぎる。
公共の交通機関も、片道の移動代だけでもコストが馬鹿にならない。魔女退治のために現地に
宿泊するのも考え物。さっきも言った通り、私は協力するわ」
「あ、ありがとう、雫ちゃん」
「保澄さんの協力が得られるのは心強いです」
そこへ、綾野梨花が続いて質問する。
「私がメンバーに挙がってるのはいいんだけど、私の能力をどう使おうとしてるの?」
「魔女殲滅にあたって、魔女を対象に能力を使ってほしいんです。すべての魔女を
倒すとなると、戦闘に割く労力は少ないほうがいいと思いました」
「一応言っとくけど、魔法少女相手に能力を使わないことが、協力の条件だかんね」
「今度、神浜の外で接触する魔法少女との協力は、交渉で得る方針だよ」
「それならオッケー」
「ありがとう、梨花ちゃん」
梨花が返事を終えると、七瀬ゆきかがおずおずと手を挙げた。
「梓センパイ。私のトラブル気質のことですけど、魔法少女のこれからを
左右するというなら、私は関わらないほうがいいと思うんですけど……」
「七瀬さん。これは灯花とねむが必要と判断したものですよ。もちろん、いろはさんとも
協議を重ねましたし、その上で七瀬さんの力を借りるべき、という判断に至りました」
「えっと……環さんって呼べばいいかな。本当なんですか?」
「はい。七瀬さんが困っているとは伺ったのですが、隠れている魔女を炙り出すため、
W−1、W−2計画においては、プラス要素となると見込んでいます」
「気は進まないんですけど、役に立つなら協力してもいいかなぁ。
だけど、私が巻き込まれるトラブルは面倒なことばっかりだし、
どうなっても知りませんよ」
「助かります、七瀬さん」
「お礼を言われても困りますよ。本当に危険なことになると思いますし……」
ゆきかが遠慮がちに目を逸らした時、胡桃まなかが入れ替わりに質問した。
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