55: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/27(水) 23:12:11.99 ID:1bYMbS4jO
「この素案に並べられた言葉の数々は、どう贔屓目に見ても目上の人間が、目下の人間に対して
用いる表現としか受け取れませんし、柔らかい表現に直しましょう。……と言いたいところですが、
梨花さんへの要求は、出席者全員から反対されるでしょう。特に梨花さんと明日香さんは」
「どんなふうに反対されてしまうでしょうか?」
「魔女相手に能力を行使することは躊躇わないでしょう。ですが、今回の能力行使先は、
協力を求める別の魔法少女です。相手が敵意を向けてくる可能性は別として、相手の
意思を捻じ曲げてまで計画に協力させるのは、如何かと思うんですよ」
「それは、確かに……だけど、向こうが敵対的だったらと思うと……」
「他の地域の魔法少女が、余所の魔法少女から接触されたら、警戒心を持つのは当然ですよ。
マギウス発足前の神浜だって、異なる地域の魔法少女同士が接触した時は、大変でしたし」
「神浜で魔法少女同士の争いが絶えなかったことは、やちよさんから聞いています」
「それに、いろはさんも初めて神浜に来た時、やっちゃんに神浜へ来ることを拒まれたでしょう?」
「そんなこともありましたね……」
「今後、初めて会う魔法少女は、最低でも警戒してくるのは当然だと思って下さい。
神浜というだけで敵意を向けてくるのは、二木市という前例があります。それに、
同じ神浜の中でさえ、ネオマギウスとの対立があった。だからと言って、相手の
意思を強引に捻じ曲げるやり方では、ユニオン内からも反発が起きるでしょう」
「すみません。計画を進めることばかり考えてて……」
「なんだか、今のいろはさんを見ていると、昔の灯花たちを見ている気分になるんですよ。
いろはさんがそんなことでは、ユニオンは忽ち瓦解してしまいますよ」
「…………」
「協力は能力ではなく、交渉によって勝ち得る。相手に敵意を向けられたら、
相手の誤解を解くことを考える。それでも駄目なら、その土地での共闘は
一旦諦め、他の土地に移動するというのも一つの手です。その時は共闘
できなかったとしても、他の土地での実績が何れ功を奏すかもしれません」
「分かりました」
「あと、素案の表現を直すとして、これだけを持っていくのは、よろしくないかと」
「どうしてですか?」
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