197: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/09/12(月) 22:06:17.78 ID:nL4eep7DO
「鶴乃ちゃんのお父さん、大丈夫なの?」
「ずっと入院してるって聞いてるけど……」
「人間ドックの結果が良くなくて、それからずっとだよ。引っ越し先が病院から近いから、
お見舞いには毎日行ってるんだけどね、店をやってた頃から一気に老けちゃって……」
「…………」
「…………」
「今思えば、お父さんにとって、お店は心の支えになってたんだ。私にとってもね。
お店を手放したことで、お父さんも、私も、自分の支えを失っちゃったんだ……
お母さんもおばあちゃんも、あんなことになっちゃった」
「その節は、何の力にもなれなくて……」
「それは気にしないでよ。自分たちだけで何とかするって、お父さんとも決めてたから」
「ご家族と言えば、鶴乃のお姉さんはどうしたのよ?」
それからしばらく、沈黙がその場を支配した。
体感的に五分程度を過ぎた後、レナから口を開いた。
「仕事とタイミングが重なって、参列できなかったんだ。電話で話は出来たんだけどさ。
いつだったか、お店の再興を巡って現実を見ろって言われたことがある。それなのに、
お店がいざなくなると、何があったのか詳しく聞かれたんだ。私、お父さんと一緒に
お店を必ず再興するって言って、そのために頑張って来たから、結構心配されたよ」
「そっか……」
「お姉ちゃんと話したいこと、もっとあったけど、仕事で忙しいし、あまり話せなかった。
それでも電話をかけてきてくれのは、嬉しかったよ」
「新居での暮らしは、どうなのよ?」
「お父さんの知り合いに不動産屋さんがいて、色々掛け合ってくれたみたいなんだ。
おかげで快適に暮らせてる。……素直に喜べないのは、悪いと思ってるけど」
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