14: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/25(月) 23:56:01.42 ID:/ZKesHprO
「それどころか、未来から要員が出発元の現在に戻って来れた場合、
さっきも言ったけど、タイムパラドックスが発生する可能性が高いの」
「出発元の時間と、そうではない時間。具体的にはどのような違いが?」
「出発元の過去ではない場合は、出発した時代とよく似た歴史を辿った、
別の世界に到着すると思う。その世界に要員との同一存在がいた場合、
15: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/25(月) 23:59:18.49 ID:/ZKesHprO
「それじゃあ、話を続けるよ。未来へ送られた要員が過去へ戻ってきたら、その世界は、
未来から戻ってきた要員を内包する世界へ、上書きされるということ。でも、時間の
連続性の観点からすると、上書き前の世界から過去に戻ってきたという事実に対して、
矛盾が生じてしまうんだ」
「その矛盾について、もう少し詳しくお話を聞かせて下さい」
16: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/26(火) 00:01:35.51 ID:DJtq/vHtO
「じゃあ、例え話をしよう。昔の機械装置は、大きな電力が一気に流れ込んだ際、
機械がそれで壊れたりしないよう、ヒューズという部品が未然に故障を防いだ。
ヒューズが飛ぶなんて表現、聞いたことないかな?」
「それなら聞いたことがある気がする」
「規定を超えた電力で、機械装置が壊れないようにするために、ヒューズが飛んで
17: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/26(火) 00:04:39.53 ID:DJtq/vHtO
「頭がずっと混乱してる。こんなことなら、もっとSF物の漫画でも読んでおけばよかった」
「疑問を抱いているのは、鶴乃だけじゃないはずだ。どう説明しても頭の混乱は避けられない。
日常生活で宇宙と時間の連続性を考えたり、タイムトラベルなんて意識しないはずだからね」
「分からないことがあれば、どんどん聞いてね」
18: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/26(火) 00:06:44.10 ID:DJtq/vHtO
二人の視線の先では、コールドスリープを選択した場合に備え、
百年後の未来へ送る要員の選定を巡って、議論が続いている。
織莉子自身も思案を巡らせた。
未来へ送り出されてしまえば、宇宙存続の問題が絡むことから、
19: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/26(火) 00:11:54.83 ID:DJtq/vHtO
織莉子は帰路に就く前、約束通りかごめの取材を受けた。
取材の場で織莉子は、自身が世界に存在する意味と、自信の能力を以って、
自分が何を成すべきかを悩んだ日々を語った。
自分の目的のために、関係ない少女を巻き込んで魔法少女にしてしまったこと、
20: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/26(火) 00:17:29.55 ID:DJtq/vHtO
「だけど、事実困ったことになったにゃー。これで浄化システムを、異世界に広げるのは難しくなったよ」
「元々、浄化システムを広げる方法も、まだ判明していないんだけどね」
「オレたちがミラーズに入れないなら、他のヤツに頼るしかねーな。でも、どう言い訳すりゃいいんだ?」
「それについては、追々考えましょう。今日はもう日が沈みかけてることだし」
「あの、私からもいいですか?もう手遅れじゃないかと思ったんですけど……」
21: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/26(火) 00:18:22.09 ID:DJtq/vHtO
本日はここまでです。また明日以降に。
22: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/26(火) 19:44:26.24 ID:vGK5oIj1O
>>20からの続き
「……あの」
「かごめちゃん、どうしたの?」
「横からすみません。あの……方法なら、あると思います……」
23: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/26(火) 19:48:55.65 ID:vGK5oIj1O
いろはとやちよは、玄関先まで出て織莉子を見送った。
織莉子が駅方面へ向かうのを確認すると、居間へ戻り、灯花から宿泊の申し出を受ける。
やちよは突然の申し出に驚いたものの、滅多にない機会として承諾。灯花の意向により、
ねむ、桜子、かごめも、宿泊を促され、やちよはこれも承諾した。
24: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/26(火) 19:52:43.40 ID:vGK5oIj1O
「|灯花とねむがそう言うなら、私は何も言わない。でも、今後はどうするの?|」
「ミラーズを使う案は、危険性が高いから除外する。コールドスリープ案は保留かな。
あとは桜子の言っていた魔法少女の能力を組み合わせる方法。それで駄目でも、
別の方法と組み合わせることもできるだろう」
「分かりました。私も今日のことは、時期が来るまで他の人には伏せておきます」
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