132: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/08/15(月) 19:32:31.51 ID:KiQxSCGiO
>>130からの続き
鶴乃とさなが折り合いをつけている時と同じ頃、ねむが下した決断に思案を巡らせるため、
桜子は自身の居場所である、北養区の山の一角で静かに佇んでいた。目を閉じ、自分が
ウワサとして形を得る前の頃を思い出し、自身の記憶を追体験する。
当時の桜子は万年桜のウワサという名で、柊ねむ、里見灯花、環うい、環いろはの、四人の
母が生み出した物語だった。メディカルセンターの病室で、魔法少女になるまで闘病生活を
送っていたねむ、灯花、ういの三人は、見舞いに時折訪れるいろはと談笑しながら、病室の
窓から見える神浜市を探検することを楽しみにしていた。
まだ見ぬ明日を夢見て、自身らが抱える病を克服し、いろはと共に歩き回ることを。
ねむと灯花の諍いをういがなだめ、いろはがそれを見守る。
ある意味、あの頃はとても平和だった。
(──でも、時間は待ってくれない)
目を開き、万年桜のウワサの衣装から学生服姿へ変わると、桜子は新西区に向けて出発した。
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