11: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/25(月) 23:40:07.03 ID:/ZKesHprO
「わたくしたちが暮らす現在を世界α、百年後の未来を世界βと仮定してお話するね。
未来へ行って現在に帰ってくることは、わたくしたちにとっては世界αと世界βを
往復しただけ。これは分かるかなにゃー?」
「うん」
「だけど、宇宙の視点からすると、それはまた別の意味を持つの。世界αは、世界βを
経由した時間旅行者を内包する世界α’となるんだよ。百年後の未来である世界βは、
世界αからの時間旅行者を内包していた世界、世界β’となる。これもいい?」
「ちゃんとついていけてるよ」
「これが何を意味するかというと、世界α’では百年後の未来までの間に起きる
すべての出来事は、世界β’に繋がるよう、世界α’が調整されるかもしれない、
ということなんだよ」
「え、えっと……ごめん、ちょっと混乱してきた。世界βと世界β’はどう違うのかな?」
そこへ、ねむが灯花の説明の捕捉に加わる。
「いろはお姉さん、僕たちがミラーズを経由して、百年後の未来である世界βに渡ったと考えて」
「うん」
「世界βに到着したら、脅威を払拭するまでは、世界βに滞在することになるよね。
この時点では、世界βはまだ世界β’になっていない。これはいい?」
「大丈夫、ついていけてるよ」
「脅威を払拭して世界βから世界α……つまり、現在に戻ってくる。すると世界αは
世界α’となり、世界βは、僕たちが去った時間以降が世界β’となる」
「そっか。私たちが未来へ渡ったとして、現在に帰ってくるまでは、どちらの世界も
ダッシュには変わらないってことだね」
「その通りだよ。世界βが世界β’に変わるのは、現在である世界αに到着した時。
その時、はじめて世界αは世界α’になり、世界βは世界β’になる」
そこまでの説明で、会合出席者の一部は、首を傾げて考え込み始める。
出席者のうち、頭を抱えて困惑するフェリシアの様子は、一際目立っていた。
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