310: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2024/08/19(月) 23:51:51.87 ID:G3J+e0ts0
探偵気取り。僕が推理小説の登場人物だったなら、一連の思考はきっと周囲からそんな風に失笑を買っている事だろう。
そして僕の場合は事実“気取り”に過ぎない。はやみねかおる作品よろしく実は頭脳明晰で……なんて都合の良い話もなく、ただただ平均的な教職員の1人。性能は平凡で色もごくごく普通の肌色であろう脳味噌をどれ程回転させたところで、恐らく妄想の域を出ることはない。
(メメ^ω^)(………原子炉【もんじゅ】のナトリウム漏洩発覚、イギリス・ベアリングス銀行破綻、コスモ信用組合経営破綻、三豊百貨店崩壊事故、フランスによる核実験)
……自覚はあれど、1人の大洗女子学園教諭として、どうしても引っ掛かる。気がつけば僕は、記憶する限りの“1995年の出来事”を羅列しそれらが大洗女子学園の戦車道に何らかの影響を与える可能性はないか検証し始めていた。
(メメ^ω^)(オリックス・ブルーウェーブが11年ぶりのリーグ優勝、野茂英雄MLB挑戦、ってこの辺りは間違いなく全然関係ねえお。あとは…………そう言えば、阪神・淡路大震災と例の宗教団体のクーデター未遂事件もこの年だっtワッヒャウ」
「うひゃっ!?」
「わっ」
突然背中を“サラリ”と異質な感触が撫で、思考の海に沈んでいた僕は素頓狂な叫び声と共に小さく飛び上がる。
慌てて振り向けば、少女2人が少し仰け反った姿勢で眼を丸くして此方を見ていた。
「ああいや、姐さんから“差し入れを持っていけ”って言われたんで乾パンと水を持ってきたんだけど………その、驚かせちまったってんならゴメンよ」
内片方………先の感触の出所と推察される、船舶科の制服を着た絹のように白いロングヘアーの少女が、申し訳無さそうに眦を下げながら此方にペットボトルと乾パンの缶詰を差し出してくる。
「それで先生、修理の進捗はどうだい?」
(メメ;;;^ω^)「………………………………………お゛〜゛〜゛ん゛」
僕はゆっくりと視線を九四式無線機に戻すと、低く唸り声を上げて返事に変える。いや決して、決して事実上修理を放棄していたことが後ろめたくて正面から向き合えないとかそういうワケではない。
「……芳しくないようね」
「まっ、そりゃあね」
もう片方──背が低い、洋風酒場のバーテンダーのような服装の子が察して落胆を露わにし、ロングヘアーの子は肩でも竦めたのか微かに衣擦れの音がした。
「精密機械でしかも骨董品だしね。先生だって一生懸命やってくれてるんだ、仕方ないサ」
……チクチク言葉って純粋な善意と労りから発せられるケースもあるんですね!知りたくなかったなぁ!!!
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