261: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2023/08/23(水) 23:21:57.80 ID:YMhrknSl0
銃という火器の普及によって、戦争は一時期国家総力戦を前提とするほどに大規模化した。中世頃から現れた“銃”という兵器の存在は、それだけ革新的だった。男女差も年齢差も皆無とは言えないが現れにくく、剣術や槍術と違って身体的欠損でもない限り本当に誰でも兵士に仕立て上げられる魔法の筒。
その“魔力”が最も大きく現れるのは、殺人に対する罪悪感の軽減。
離れて撃つから、殺人そのものに対する現実味が希薄になる。仮に向こうも武装していて銃撃戦になったとしても、直接斬り合い殴り合うより“殺し合い”という行為に対して抵抗感が遥かに緩和される。加えて根本的な必要所作は“引き金を引く”だけだから、“慣れる”までも早い。
「そぉれい!!」
「そっちから二人来たぞ、抑え込め!!」
「【ヌタウナギ】だ!気をつけろ!!」
さっきも述べた通り、ただでさえ日本の警察は殺傷に対するハードルが高い。血眼になって包丁を振り回してるパンイチの狂人に対してすら、実際に銃を抜けば気高き平和の使者の皆さまが「野蛮だ」と口を極めて非難する。
一応は深海棲艦という存在によって武器の使用が良くも悪くも“日常的”になりつつある自衛隊より、ある意味では“武力”の使用制限は重い。況してや学園艦所属の保安官なら尚更でしょうね。
「コアッ!!』
「っ……だらぁっ!!!」
なのに、今まさに【暴徒】や【寄生体】と交戦中の機動隊の面々は、武器を振るう手を止めない。銃撃どころか、よりはっきりと自分たちが“人体”を破壊していると突きつけられる、時代と文明の進歩に逆行した「白兵戦闘」に身を投じる。
無論、お世辞にも淡々と、とは言えない。深海棲艦が最初に東南アジアを襲った折は艦内で連絡船や飛行便発艦所に押し寄せた暴動寸前の住民を何度か鎮圧したというから、練度はそれなりにあるのだろう。ただ、その時の目的はあくまで“制圧”、殺傷じゃなかった。
今この瞬間、艦内住民を守るはずだった自分たちの手でその住民の形をしたモノに武器を振り下ろす時、きっと彼らの感情は身を焼かれ引き裂かれるに等しい苦痛を味わっている。
でなければ、自分たちの得物を叩きつける時に、誰も彼もが殆ど悲鳴に近い雄叫びを上げてはいない筈だ。
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