256: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2023/07/27(木) 23:37:39.52 ID:898rXpAV0
包囲は、この時点で既に大きく綻びつつあった。
防戦を開始した地点から“門”の前付近まで一気に打通した私の突貫は、さながら手練の筋者が扱うドスの如く“群れ”を深く抉っている。
単純な損害の大きさに加えて、艦娘である私が大暴れしながら“群れ”をどんどん食い破っていく有様は当然向こうにとって愉快な状況から程遠く、損害の穴埋めと私への対処に動きざるを得ない。
結果として“防護陣地”への攻勢が全面的に「鈍化」を通り越して「停止」に差し掛かりつつあった中での、W号による砲撃。正しく穴埋めと私への対処に出向いてきた四個小隊相当の戦力が一瞬で壊滅し、深海棲艦側は致命的な混乱状態に陥った。
《門前、全迎撃隊に伝達!攻撃を開始してください!!》
【大洗の軍神】は、機を逃さない。無線越しに号令が飛び、“門”から一気に“軍勢”が打って出る。
「Giraffe Teamは右を!Phoenix Teamは左をやれ!
Dragon各位は中央に火線を集中、てめえらのソレより貴重な“タマ”だがケチるなよ!!ありったけバラまけ!!」
「「「了解!!」」」
仰々しい名前で呼ばれていた3個分隊ほどは、その全員が恐らく陣内においては極めて貴重であろうサブマシンガンや89式小銃──連射ができ、“火線・弾幕展開”を可能とする銃火器で武装していた。
「ぐぁあ……』
『グギッ!?」
「『「ぁあぁあああああああっ!!!?』」』
一斉に放たれるフルオート射撃が、“群れ”を更に大きく激しく突き崩す。雨あられと降り注ぐ銃火に【暴徒】達はドミノの如く薙ぎ倒されていき、“門”の前に形成されていた空白が放射状に伸びる弾幕の軌道に従って外へ外へとどんどん広がっていく。
「敵包囲網、急速に後退!突貫スペースを確保!!」
「よし、機動隊突撃しろ!いけぇ!!」
「「「うぉおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!」」」
銃火器部隊が火線を維持しつつ“群れ”の穴を掻き分けるようにして左右に分かれ、その後ろから進み出る目算約一個中隊ほどの人数。
彼らは時代錯誤な“鬨の声”を上げ、隊列を組み、さながら古代ローマの重装歩兵の如く一つの塊となり、とりわけ大きく崩壊した“群れ”の一角へ突撃する。
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