203: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2023/04/05(水) 23:57:19.74 ID:hz8Qtao20
(みほさん…………)
私達を“戦争”に誘い、みほさんをさえ“駒”と見做す、あまりにも薄汚い反吐が出るような謀略。私の家を訪ねてきた“仕掛け人”の遣い人は、巧みな美辞麗句で父と母を丸め込んだ。
父は言う。友人を助けるという大義と、“家名”の向上という実利を一時に得られるのなら、これほどに素晴らしい話はない、と。
母は言う。西住家次女救出の戦を赤星家が主導したとなれば、戦車道流派において島田家や西住家に優越した名門へ飛躍できる、と。
眼の前でぶら下がっている“栄達”という餌で瞳が曇った二人に、優しい両親の面影はない。いっそ清々しくなるほどに、二人が“遣い人”に騙されているのは明白だった。
だが、私は特に抵抗することなくその話を受けた。
(みほさん、みほさん、みほさんみほさんみほさん、みほさん……………っ!!!)
元より、私の命はみほさんから“頂いた”もの。あの日喪われる運命のはずだったところを彼女に救われ、たまたま今日まで生き延びただけに過ぎない。
そして今、恩人であるみほさんが命の危機にあるという。
だから、返す。彼女から受けた恩を。彼女に借りた命を。
その為なら、どんなことだってする。例え友達や仲間を裏切ることになっても、例え国を害する策略の道具になろうとも、例え足元に幾つもの屍が転がろうとも。
例えその果てに、私自身の“滅び”が待っていようとも。
(私に出来ることは、なんだってします。どんな事をしてでも、貴女に恩を返したい。あの時与えてくれた希望を、今度は貴女に与えたい。
…………だから、だから!!)
どうか、無事でいてください。
みほさん。
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