144: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2023/01/27(金) 01:45:17.90 ID:sMuggt4e0
不幸中の、という注釈は間違いなく必要になるが、それでも“幸い”が一つある。
【海上機動迎撃網】自体は、まだ機能を維持できている点だ。
(我々は、【学園艦棲姫】の存在を起点に最も強く警戒していた筈の“物量”について予想を覆され、主力部隊をフィリピン海に引き摺り出された。
だが、逆説的に言えば“それだけ”です。防衛計画そのものは、まだ生きている)
確かに、“忌み名持ち”レベルの実力者達を尽く出払わせてしまった為戦力低下は著しい。しかし、ここを含めて各鎮守府は何れも持ち堪え、敵艦隊を押し留めている。
そしてその敵艦隊の数は、あくまでも人類側の“推定通り”に今のところは収まっているのだ。
(主力艦隊と比較して劣ると言うだけで、【海上機動迎撃網】………よりはっきり言い換えるなら【絶対国防圏】に配属されている以上、どの艦娘も水準以上の実力は備えている。
フィリピン海防衛線の指揮権が八頭提督にほぼ一本化されていた結果、他鎮守府の提督たちは残っていたことも大きい)
深海棲艦側は、主力の誘引に成功したことで「抜ける」と判断したからこそ“矢”を放ってきた。ならば、その“矢”が“盾”を失ったはずの自分たちを抜けなければ、今度はその事象自体が向こうにとっての「計算外」に変わってくる筈。
(ならば我々は、敵の動きが“当初の防衛計画”に則る限りあくまでそれに忠実に動く。それが、恐らくは最善の策ですね)
専守防衛。自衛隊は正にこれを主任務とし、貫くために訓練を重ね、技術を磨いてきた。
「小栗提督代理、レーダーに感あり!!新たな敵艦載機群、こちらの防衛線を迂回し鎮守府へ向かってきます!!」
「そうですか」
ならば、“本来の仕事”ぐらいは自衛官である自分がやり遂げなければならない。
もし、それすらできないのであれば、
「問題ありません。各位、各艦隊、当初の“防衛計画”通りに動いてください」
民間出身でありながら最前線に飛び込んでいった自分たちの提督を、どのツラ下げてこの鎮守府で迎えられるというのだろうか。
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