13: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2022/07/10(日) 00:02:55.28 ID:nPgd6y1e0
およそ100mほど先、なだらかな斜面が間に続いた小高い丘の上。そこに深海棲艦の別働隊連中が、所狭しと雁首並べ蠢いている。
『『『ォオオオアアアアア…………』』』
('A`)「わぁキモイ」
これが同数の艦娘であったなら………実態が小国を2つ3つ跡形もなく消しされる戦力であるにしろ、光景としてはそこまで異様なものにはならなかっただろう。
一人一人が古の軍艦の戦闘力をその身に宿していても“人数”はあくまで100人そこそこだ。まだ“内地”と呼ぶことが出来た頃のベルリンで反艦娘デモに集まっていたクソバカ連中の方が余程人数はあったし雰囲気もイカれていた。
だが深海棲艦ともなれば、外観の端的なおどろおどろしさにデカさも加わる。最大20mの化け物が100に迫る数で群れ集まり暴れ狂う様は、黙示録の一節として宗教画にすればさぞや映えるだろうよ。
('A`)(………散開してくれた方が“やりやすい”んだがなぁ)
双眼鏡で敵艦隊の陣容を端から端まで眺めつつ、思わずため息をつく。
深海棲艦がその巨体で密集していれば、一見するとかえって一網打尽にしやすくなり悪手のように思える。
だがその実、陸戦ではそもそも寄り集まって押し寄せてくるような大艦隊を“一網打尽”にできるほどの火力を用意すること自体が困難極まりない。一体一体の耐久力が文字通りの軍艦並みの化け物がスクラム組んで押し寄せてくれば、互いが盾となりあって迎撃効率はスツーカばりに急降下する。少なくとも、相当膨大な戦力を結集しない限り“短時間での殲滅”は限りなく不可能に近い。
空を飛ばせば国庫が空になる爆撃機を束で運用する国や艦娘を内陸で交番勤務の真似事をさせるほど大量に配備している国ならいざしらず、首都周りを含めた国土の北半分を丸々失陥し艦娘もようやくレンドリース込で100隻台まで回復したばかりの我らが祖国じゃどだい無理な注文だ。
('A`)「この間は“やりすぎた”か」
(*゚∀゚)「少佐殿、なんか言ったかい?」
('A`)「ただの独り言だ」
故に、現代戦においては定石となる散兵戦術を採ってくれた方が俺としては余程突け込みようがある。
向こうは旗艦に対する艦隊機能の依存が顕著で、旗艦や“知識階級”であるヒト型を複数沈めれば途端に烏合の衆と化す。これは大群であればあるほど顕著であり、また大群であればあるほど戦力の厚さや流れから位置の推測がしやすい。
なので、大きく広がり攻勢に出てくる敵艦隊を基地航空隊と自走砲や戦艦勢の艦砲射撃で牽制しつつ旗艦の位置を割り出し、護衛戦力を引き離した上でこちらの最大火力を叩きつけ一撃必殺。
このやり方なら、敵がどれほどの大艦隊であっても質さえ確保できていれば少数戦力で手早く無力化できるため幾らでも戦いようが出てくる。
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