129: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2023/01/07(土) 08:47:18.73 ID:zAM4YSi90
おかしい。
僕は別に眼を瞑ってるわけでもないのに、眠りこけられるはずもないのに、何故か周囲の景色が見えない。
3歳児がパレットの上でぶち撒けられた絵の具を掻き回した後のように、混ざりあった様々な色だけがぐるぐると回り続けている。
まぁでも、大きな問題はない。周辺の海図は頭に叩き込んであるし、耳は正常に機能してる。大丈夫、僕はまだ戦える。
「左方の【回転木馬】にて【黒鳥】による強襲が発生!Shamrock第3編隊、全機が通信途絶!!」
まただ。次こそ、“数字”が増えないようにしないと。……あれ、でもなんで増えちゃダメなんだっけ。
「ヤペン島“海軍”鎮守府艦隊より入電、旗艦・霧島が大破!退却に移るとのこと!!」
轟沈にばかり眼が行きがちだけど、ほぼ完全な離脱を余儀なくされる大破の急速な増加も由々しき事態だ。これ以上“駒”が減れば、本格的に防衛線の維持が難しくなる。……あれ、“駒”って何のことだっけ。
ダメだ、ダメだ、ダメだ。
意識をしっかり持て。余計なことは考えるな。戦い抜け。
僕は、この戦場の指揮官なんだから。日本の国防を担う盾なんだから。深海棲艦と戦う軍人なんだから。
「八頭提督」
(;# Д )「今度はなんですか!!!!」
「青ヶ島鎮守府、指揮官代理の小栗三等海佐より緊急連です」
この艦隊の司令官、提督なんだから。
「同鎮守府を含む【海上機動迎撃網】に対し、近海に出現した深海棲艦による大規模な攻勢が開始されました。
現時点での総兵力は数個艦隊群程度ですが……これは恐らく、総戦力の“ごく一部”と思われます」
しっかり、しなくちゃ。
311Res/557.96 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20