1:名無しNIPPER
2022/06/26(日) 23:11:53.93 ID:EbrPSmQr0
ロドス内の通路を歩いているとドクターと呼びかけられて、私は振り返った。
耳をぴんと立てて、私に微笑みかけているのはロドスアイランドのCEOであり、リーダー、アーミヤだ。
「おはようございます。ドクター。今日は風も凪いでいて景色もいいですから、外に出てみるのもいいですよ」
「おはよう、アーミヤ。この一週間砂塵に閉じ込められて、整備班はご機嫌斜めだったが…ようやく解放されたようだ」
砂と砂利が隙間という隙間から、艦内に進入したため、計器類の不具合が発生し、ついでにウィーディはこれまで以上に神経質になった。
彼女が高水圧のポンプで、靴を洗い流す無料サービスを始めた時はよかったが、そのうち衣服や人にまで拡大しようとしたため、騒動を起こす前に彼女を清潔な個室へ送還することになった。
とはいっても、私のコートと執務室の一部が、彼女の実験のコストになっただけだ。
「ウィーディさんも反省していましたから、今日で彼女は普段通りの勤務に戻ります。よければ声をかけてあげてください」
「今日は休暇で手持ち無沙汰だったから、研究室に顔を出してみるよ」
「はい、お願いします。実は、わたしも休暇を取ってみようとしたのですが、急用が出てきてしまって…」
しゅんと耳を垂れるアーミヤを見て、私は申し訳なく思った。
実際、アーミヤ、ケルシー、私たちの三人は管理上、できるだけ休暇が被らないようにしている。
どうしても、プライベートでは会う機会はほぼない。
「今度休暇を合わせられたら、ボリバルの海月プリンを食べよう。ミヅキからお土産にもらったんだ」
一瞬、アーミヤは驚いた表情だったが、こくりと頷いた。
「ええ、ぜひ」
彼女は、指輪を握りしめる。これは何回目の約束だったか。
10か、20か、あるいはもっと多い、腐り果てる約束。
「そういえば、今日は、ケルシー先生と同じタイミングで、休暇でしたね」
アーミヤはあくまで自然体を装いながら、確認する。
「そうみたいだ、ケルシーから何か聞いているか?」
「わたしはなにも聞いてませんが、きっとお会いするでしょう
だって、あれは元々ケルシー先生の仕事だったんです」
私が何かを言う前に、彼女は静かにその場を去った。
どうやら、今日の急用が彼女の機嫌を損ねてしまったようだ。
だけど、それはケルシーも織り込み済みだろう。
…できれば休日に、ケルシーと仕事の話をしたくないものだ。
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2:名無しNIPPER[sage]
2022/06/27(月) 12:24:06.39 ID:+IhCQGi5o
きたい
3:名無しNIPPER[saga]
2022/06/29(水) 04:46:11.54 ID:5RrqZQj/0
休日の過ごし方というのは、ロドス内では多種多様であるが、私のような記憶喪失の者にとっては、どうにも歯がゆい時間である。
この空白の時間は自身が、芯となるものを欠落した人間であるということを、自覚させるのだ。
よって、わたしは休日というものをロドス内を歩き回ったり、ロドスの面々と話すことで、記憶の断片を探すことが多い。
4:名無しNIPPER[saga]
2022/06/29(水) 04:47:08.91 ID:5RrqZQj/0
「今まで、問題なかったようが、今回の砂嵐はやはり特殊だったようだ」
「そうだね、主にその砂嵐の規模と、その砂に大量の砂鉄が混じっていたことがこれまでと違った点かな。
大概の電子装置は防護対策してあるものだけど、なにせ古いから、ぼろっちいんだよね」
5:名無しNIPPER[saga]
2022/06/29(水) 04:48:05.69 ID:5RrqZQj/0
痛みはないが代わりにぞくりとした感覚が背筋を襲う。
そして、熱い吐息が肌にかかり、理性を麻痺させようとする。
私は空中に浮いていた手を何とか動かし、クロージャの身体を引きはがそうとするが
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