55: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:37:35.99 ID:Sev9O2YP0
輝子は目を瞑り、少し考えた。
今までの事を。親友との出会い、メタルアイドルとしての日々。
新しい事務所に来てからの生活。トモダチとの日常。
自分は、何ができたんだろう。何を考えてここまでやってきたんだろう。
……自分は、何がしたいんだろう。
やがて彼女は答えを見つけ、目を開いた。
「マネージャーさん」
「うん?」
「あなたの言うとおり、私は、あっちの事務所ではそんなにファンがついていなかった。
でもこっちだと、すぐたくさんファンがついたから、マネージャーさんは、凄い人なんだと思う」
マネージャーは優しく微笑む。
「じゃあ……」
「だけど」
輝子は続ける。
「だけど、プロデューサー…親友の方に、いきます」
プロデューサーが小さく頷いた。
幸子と小梅が嬉しそうにハイタッチした。
マネージャーは、表情を固まらせ、尋ねた。
「一体どうしてだ?どう考えてもこっちの方がいいだろう」
「マネージャーさんは、私の事を知らない」
「そんな事ない。メタルとキノコが好きなんだろう?」
わざとらしく笑う男に、輝子は尋ねる。
「私の嫌いなものは、知って、るか?」
マネージャーは黙った。
プロデューサーは少し考えた後吹き出し、幸子が怪訝な顔をした。
「嫌いなもの?」
「そう、嫌いなもの……」
輝子はマネージャーを見据え、指をさし、叫んだ。
「権力を笠にきてるヤツは大ッ嫌いなんだよ、バァーカ!!」
力強い叫び声と、それに続く彼女の豪快な笑い声が、辺りに響いた。
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