11: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2022/05/21(土) 00:17:46.95 ID:bb4C09gAo
問いかけが針になって刺さる。
私が話をしている時、ライラはどうしていた?
ライラの目には何が映っていた?
12: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2022/05/21(土) 00:18:37.02 ID:bb4C09gAo
確かに私たちの時と比べれば違いはある。
まず、ライラとその相手には面識がない。
だがそれは、私たちのケースが珍しいだけだろう。
今回の話が世間一般から逸脱しているわけではない。
13: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2022/05/21(土) 00:19:32.12 ID:bb4C09gAo
「……ライラは違うというのか?」
「あの子は周りの幸せを自分の幸せにできる子です」
14: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2022/05/21(土) 00:20:11.85 ID:bb4C09gAo
私とて、喜捨はしている。
だがそれは、持てる者の義務としてだ。
そして、喜捨によって得られる有形無形の利の為だ
世に生きる人間など、大抵はその程度だろう。
15: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2022/05/21(土) 00:20:48.06 ID:bb4C09gAo
「ええ、それは私にも分かっています」
だかそれは致命的なリスクでもある。
悲しいかな、世界はそれほど優しくできてはいない。
16: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2022/05/21(土) 00:21:33.19 ID:bb4C09gAo
「最近のあなたが結婚の話しかしないと、あの子が寂しがっていたのです」
鈍器で殴られたような衝撃だった。
ライラがそんな事を?
17: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2022/05/21(土) 00:22:23.82 ID:bb4C09gAo
私の望みを叶えて幸せになる。
それがライラの考えだったに違いない。
けれどそれは、本心からの願いだったのか。
そうではないから寂しさを感じたのではないのか。
18: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2022/05/21(土) 00:22:55.94 ID:bb4C09gAo
「……ライラ自身に、か」
そんな当たり前の事を見落としていたのか。
いや、それだけではない。
19: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2022/05/21(土) 00:23:57.34 ID:bb4C09gAo
「外に出て、いろいろな経験をして。それはあの子を成長させてくれます」
そして妻はそんな私を見放さずにいてくれた。
あまつさえ、私自身が省みる機会すら用意してくれた。
20: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2022/05/21(土) 00:24:27.33 ID:bb4C09gAo
何やら風向きが変わってきた。
それもおそらく、私にとって都合が悪い方に。
「だってあなた、すぐに手も口も出すんですもの」
21: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2022/05/21(土) 00:25:06.09 ID:bb4C09gAo
「あの子の事となると、途端にブレーキが壊れるんですから」
向けられた苦笑には思い当たる節がある。
いや、ありすぎるくらいか。
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