姉がアイドルということ
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4: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2022/05/10(火) 13:40:44.49 ID:nm7zvJuf0
「大変?」
「え?」
「姉が有名アイドル、っていうのは」
 言ってもいいのだろうか? 正直に。
「どう?」
「まあ……さして親しくもない人から、急にあれこれ聞かれるのは大変かな」
 少女はしばらく沈黙した。
「……ごめんね」
「え?」
「急に話しかけたりして」
 あ!
 そうだ。今まさに、彼は急に話しかけられているのだった。
 が、別段彼は嫌みを言いたかったわけではない。ただ本音を喋っただけだ。
「ごめん、そういう意味じゃないんだ」
「……うん。でも不躾だった。だから、ごめん」
「あ、い、いや、いいよ」
「じゃあ放課後」
 ?
 放課後? 放課後がなんだって?
「放課後、続きを話してもいい?」
「え? あ、ま、ええと……まあ、別に」
「約束よ」
 少女は教室を出て行こうとする。
 彼女、なんていう名前だったか……確か……
「うん。徳田さん」
 去りかけていた少女は、転びそうになる。
 なんとか転ばずに済んだ彼女は、何かを言いたげにこちらを振り返る。
「なにか……?」
「ううん。なんでもない、じゃあ放課後にね。高山君」
 去って行った少女の姿を、彼は脳裏で思い起こす。
 そう、他の娘と違っているのは……
「ちょっと……いや、かなり可愛い娘だったな」




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