10: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2022/05/10(火) 13:46:18.01 ID:nm7zvJuf0
「……」
昨日と同じく、放課後になると徳田さんは高山少年のクラスへとやって来た。
が、特に何も言わずに黙っている。
「あの……」
彼が切り出すと、徳田さんは嬉しそうに目を輝かせた。
「なに? なに!? もしかして、わかっちゃった?」
なにを?
と、聞きかけてその言葉を彼は飲み込む。姉がいるだけに彼は女の子との口の利き方を、多少はわかっている。
女の子になんでもかんでも質問をしては駄目なのだ。
姉の紗代子も、新しい服を買った時には彼に感想を求めるのだが、そういう時も……
「あ」
「うんうん。なに?」
「髪型……」
「あー、やっぱりわかっちゃった? ちょっとね、変えてみたんだ。そっかー、わかっちゃうかー」
徳田さんは照れたように笑うが、それはよくよく見なければわからない変化だ。
それも、姉が服に合わせてよく髪型を変えるので、その経験がなければ思い至らないものだ。
が、女の子が喜んでいる時に余計なことを言って水を差さない、というのも彼がまた経験的に理解していることだ。
42Res/43.05 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20