33: ◆hhWakiPNok[saga]
2022/04/09(土) 14:11:23.22 ID:sRuakiC/0
このみ「そんな早い時間に帰ってきたの!? な、なにやってるのよ風花ちゃん!!」
翌日、私はこのみさん莉緒さん歌織さんに取り囲まれると、昨日はどうだったのかと聞かれ、問われるままに答えた結果のこのみさんのリアクションがこれだった。
ちなみに莉緒さんはなぜか少し首を傾げ、歌織ちゃんもなぜかホッとした表情を見せる。
34: ◆hhWakiPNok[saga]
2022/04/09(土) 14:11:57.49 ID:sRuakiC/0
風花「き、昨日が実質初めて2人だけで過ごしたプライベートだったんですよ? いきなりそんな、ね、ねえ」
歌織「ううん」
風花「え?」
35: ◆hhWakiPNok[saga]
2022/04/09(土) 14:15:25.56 ID:sRuakiC/0
歌織「プロデューサーさん、次は私にも時間を取っていただけませんか?」
その日の午後、歌織さんはプロデューサーさんにそう言った。
側には私もいるのだが、歌織さんは臆していない。
36: ◆hhWakiPNok[saga]
2022/04/09(土) 14:16:35.34 ID:sRuakiC/0
そこからの3週間近く、私は悶々とした思いで過ごすことになった。
歌織さんは、本当にその日にすべてを決めてしまうのだろうか。
そもそも2人でどこに行き、なにをするのだろうか。
そうしたことが千々に頭を巡り、私の胸を痛める。
37: ◆hhWakiPNok[saga]
2022/04/09(土) 14:17:32.68 ID:sRuakiC/0
このみ「早く寝れば、早く起きられるの? 歌織ちゃんは」
歌織「それは……そうでもないんですけど、やらないよりは……と」
莉緒「睡眠は量よりも質、って聞いたことがあるんだけど」
38: ◆hhWakiPNok[saga]
2022/04/09(土) 14:18:24.15 ID:sRuakiC/0
歌織「今、寝起きの私は子供っぽいって思って笑ったでしょ?」
風花「そ、そんなことは……」
歌織「違うの?」
39: ◆hhWakiPNok[saga]
2022/04/09(土) 14:21:36.09 ID:sRuakiC/0
このみ「そうね。そうすると風花ちゃんは、結果はともかくまあまあの選択だったわよね」
風花「え?」
莉緒「映画だったのよね? 2人並んで座って同じ時を共有……周りは暗いしあまり気にされない。なるほど、理想的かも知れないわね!」
40: ◆hhWakiPNok[saga]
2022/04/09(土) 14:22:32.77 ID:sRuakiC/0
このみ「それは……どうなのかしらね。プロデューサー気後れとかしないかしら」
歌織「まあ、そういうものなんですか?」
莉緒「左ハンドルでしょ? プロデューサーくん、運転とかしたことなさそうだから、歌織ちゃんばっかり運転することになるんじゃない?」
41: ◆hhWakiPNok[saga]
2022/04/09(土) 14:23:30.60 ID:sRuakiC/0
歌織さんはライバルだし、明日は彼女のターンなわけだが敵愾心というものを不思議なぐらい、私は持てないでいる。
こうして大人組のみんなで集まって飲みながら、わいわいと話すのはやはり楽しいし、女同士の友情も感じる。
そう、私もわかった。
この恋に敗れるなら、プロデューサーさんが誰かを選ぶなら、たとえそれが自分でなくてもこの中の誰かであって欲しい。
42: ◆hhWakiPNok[saga]
2022/04/09(土) 14:24:31.30 ID:sRuakiC/0
実は私は最近ほとんど毎日、このパラノーマル・アクティビティを再生している。
その意味では買って良かったDVDだが、実はいつもこのシーンしか見ていない。
このシーンにさしかかると、あの時……プロデューサーさんが私の手を握ってくれた事が、あの手の感触と気持ちが、私の中に鮮明に蘇る。
それで、日課のように私は毎日このDVDを再生しているのだ。このシーンだけを。
43: ◆hhWakiPNok[saga]
2022/04/09(土) 14:25:12.46 ID:sRuakiC/0
莉緒「意外よね。風花ちゃんがホラー映画なんて」
風花「ま、まあ、心境の変化というか」
歌織「……プロデューサーさんと見に行った映画なんでしょう?」
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