安価でSSを書かせて頂きます
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52:名無しNIPPER[saga]
2022/04/12(火) 20:39:08.06 ID:7CFKnxlH0
その日は驟雨が酷かった。
篠突く氷雨が樫の木々に降りかかった、そういう雨音を、時おり、すぐ近くに鳴ったろう雷が真白に打ち消すのだった。
急き立つ我々が防風林を抜けると、小高い丘陵の頂点、厚い鼠色の雲を後景に、明治に公設されたような洋風の邸宅が一軒、孤立しており、そこが廣建イリナメラ庵なのだ、と崇高なる宣告者は言った。
そこは余りにも異国的で、妖しく、恐怖譚のくすんだ暗い挿絵に似ていた。ボルメテウスホワイトドラゴンは、これは不吉の相がある、と断じ、一人事情を知っていそうな崇高なる宣告者は、一人意地が悪い笑みを浮かべてあれこれ尋ねる蘭子を躱す。
初めに出迎えたのは大層なロートアイアンの門扉で、次に格子向かいから老紳士風の男が歩いて来た。召使であるらしい。彼は我々を庭内へ招き入れると、「崇高なる宣告者様よりお話は伺っております」と言った。

「そろそろ話を聞かせて頂こうか」
通された客室のベッドに腰掛けて、蘭子は宣告者に憤然とした面立ちで話しかけた。ボルメテウスホワイトドラゴンとブラスターブレードは大きく、嵩張るので、元の異空間に戻してある。
「これは一体どういう趣向なのかな?」
「端的に言えばある教授に師事してほしいのさ」
「そうならそうと言ってくれれば!」
蘭子は頬を膨らませそう言った。
「……それについてだがね」
宣告者は豁然と紫檀のカクトアールから立ち上がると、蘭子の額に寄せ、「ブラスターブレードは信用できないかも知れない」
と言った。






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