9:名無しNIPPER
2022/04/02(土) 23:26:58.32 ID:QLtqEEbF0
私がそう言うと、しばらく、目の前にいる彼女は黙りこんだ。
そして、ハッキリとした声で言った。
「…自分を駄目なトレーナーだなんて、どうかそんなことを言わないでください」
私の腕を、そっと撫でる。
彼女は、私の目を、まっすぐに見上げた。
「トレーナーさんのことは、私たちがわかってます」
彼女は、「先に行ってます」と、私の持っていた荷物を奪い取って、走っていった。
「いいですか?ちゃんと、仲直りしてくださいよ!約束取り付けて、今日、話したいこと、話し合ってください!それで、ちゃんと私のレースを見てください!しっかりと!貴方のウマ娘の走りを、目に焼き付けてください!絶対に一着取りますから!いいですね?」
走り際にそう残して、あっという間に彼女は走り去っていった。
惚れ惚れするような、私の好きな走りで。
「…」
それを見送りながら、彼女の言う通りに、ポケットを探った。そこで、最後にマルゼンスキーと話して、声を聞いたのが、とても前だったことに気がついた。
彼女の声を思い出すのは、いつも、あの震えた声だ。
…彼女の声をまた聞きたい。
あの頃のように、彼女にまた、明るく名前を呼ばれたい。
私の大好きなマルゼンスキーは、いつも楽しそうに笑っていたから。
私は、震える手で、スマホを取り出した。
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