94:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 01:01:10.09 ID:XVB8s0iW0
そうしてついにその時が訪れた。
この侵犯者同士の果実競争においては、
武力も当然重要であるが、
第一には情報収集と行動の早さが帰趨を決した。
まず、もっとも強きアルゴサクスとほぼ同格のアビゲイルは、
強者たる油断あってか、この点で後手となってしまった。
次いで三番手だったスパーダは相変わらず何を考えていたのか不明だったが、
同じく出遅れた。
完全な果実を生じさせるクリフォトの大樹はどれか、どこにあるのか、
それを最初に見極めたのはムンドゥスだった。
侵犯者四柱のうち己はもっとも、
それも勝負にならぬほど弱い、彼はそれを自覚し、
並々ならぬ劣等感を抱いていたからこそ、
その差を補うべく誰よりも
情報収集に力を入れていたのである。
優位に立ったムンドゥス、それはほんの僅かな余裕ではあったものの、
他三柱を出し抜くには十分だった。
彼は速やかに目当ての大樹へと赴き、
その樹を育てていた所有者を殺害して強奪した。
相手は魔界中に名を馳せていた強者たる悪魔だったものの、
もちろん侵犯者たるムンドゥスの敵ではなかった。
そして完全なる『果実』の誕生を目の当たりにし、
収穫し、ついに食した。
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