29:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 00:26:28.08 ID:XVB8s0iW0
そしてそのジュベレウスも認める力量によって、彼は天界統治を担った。
多才ゆえに業務も体制管理だけではなく、
原初時代の知識を集積しての保存作業から、神殿や聖域の設計、
果てには日常細事の相談役まできわめて多岐にわたった。
また軍事においても、性格上不向きなジュベレウスを参謀として支え、
前線の将として実務を担うこともあった。
さらに武器発明や戦術考案の業績も数え切れず、
天界の戦争能力向上にも大いに貢献した。
ジュベレウスが天界の産みの親ならば、彼は育ての親、
彼女が天界の脳ならば、彼は脊椎だった。
そしてその貢献に相応しく、彼は多くの人望を集めることとなった。
だがまったく陰がない、というわけではなかった。
彼は眩しすぎるほどに万能かつ強大である故に、
常に濃い陰もまとわりついていた。
戦場における彼は屍の山を築く闘神であり、
その武威を称える神々も多かったが、内心で戦慄する神々も多かった。
頭上の光輪が示すとおり彼はジュベレウスに匹敵するほどに強く、
かつジュベレウスにはない攻撃的で冷酷な一面も備えていたからである。
そしてこの陰は、天界内についにある疑念を生じさせた。
最終戦争が激しさを増すにつれ、こう囁く者が増えはじめた。
ロダンの絶大な力の正体はOMNEの複製ではないのか、
すなわち彼も実は侵犯者ではないのかと。
これは、戦争激化で侵犯者と交戦頻度が増えたことによる声だった。
侵犯者と交戦した者たちが、ロダンと侵犯者の近似を抱きはじめたのである。
現に彼の力の性質は、侵犯者ムンドゥスの「創造」によく似ていた。
加えて戦場にて発揮される武は、スパーダのごとく「破壊」的でもあった。
そのためジュベレウスに出会う前の彼は「血の世界」出身、
つまり元は魔族であり、最初期の侵犯者ではないか、
それこそ原初世界群を崩壊させた張本人の一人ではないか、
そう囁かれ始めたのである。
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