286:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:32:15.60 ID:XVB8s0iW0
対してスパーダの側も、その曝けだされた激情に触れたことで
魔帝の本性を改めて理解した。
垣間見えるは完全無欠たる真の悪意。
そのおぞましき本性には充足や限界はなく、
あらゆる存在、事象を糧にして無限に増大していくのだと。
それは究極の実現力たる『創造』と結びつくことで、
その悪意は最終的には人間のみならず全ての生命、全ての存在、
果てには『有』と『無』の根源をも覆い尽くしうるのだと。
そしていずれ、原初時代の『唯一のOMNE』の如く、
魔帝の悪意こそが次世代の絶対真理へと成る。
それがスパーダが垣間見た恐るべき未来だった。
スパーダは極限を超えていく戦いの中で、
ごく一瞬ではあるもエーシル=ロキと同じ領域に踏みこみ、
そしてロキのように絶望的な未来を知ったのである。
とはいえそんな未来を垣間見ようとも、
スパーダの成すべき使命は変わらなかった。
それどころかそんな未来が見えてしまったからこそ、
なおさらに信念が強まり、彼の力も一太刀ごとに圧を増していった。
魂に宿す人間の心、そして何よりも大切な人への想い、
「愛する力」がスパーダをさらなる高みへと押し上げた。
それはいわば、スパーダ自身が体内で『果実』を醸成したも同じ、
もといそれ以上の現象だった。
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