282:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:30:17.21 ID:XVB8s0iW0
7 『宿命』
スパーダによる大虐殺を、
魔帝は己の宮殿から静かに眺望していた。
内では憤怒を最高潮にまで滾らせながら。
魔帝にとってかの軍勢は使い捨ての玩具でしかなかったが、
彼らを見殺しにした理由はそれではなかった。
今の彼にはスパーダしか見えていなかったからである。
この瞬間、魔帝にとっては配下軍どころか、
魔界も人間界も、ロキや「世界の目」すらも全てがどうでもよくなっていた。
彼はただスパーダのみを見、その生命の破壊のみを熱望し、
そのためにひたすらに闘志を研ぎあげていた。
その憤怒はもはや臨界点を超えており、
彼の行動規範たる加虐欲すらも押しのけられていたほど。
加虐による「快楽」ではなく裏切りへの「清算」のみが
今の彼が求める全てだった。
魔帝は自我を有して以来初めて、
欲望を忘れるほどに憤怒したのである。
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