ダンテ「学園都市か」前時代史(仮)
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270:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:23:58.72 ID:XVB8s0iW0

その言葉には、発したエヴァ自身が誰よりも驚いていた。
よく考えず、ろくな意図もなく
衝動的に発してしまったからである。

だがそれゆえに純粋な感情から発露した言霊、
スパーダと同じく「心」に突き動かされてのもの。
彼のおぞましい正体を突きつけられたにも関わらず、
彼女の愛は揺れていなかった。

エヴァはその己自身に大いに驚き、
そして今の発言が己の立場を危うくするともすぐに気づいた。

ここでの会話は全てが記録されており、
そして相手が「スパーダ」と知った上でのこの発言は
反逆と見なされ得ると。

同胞たちからの糾弾を避けるには、
すぐに失言を撤回し、スパーダへ拒絶を示す必要があった。
だがエヴァは躊躇ってしまった。
振り向いたスパーダ、その瞳に心を奪われたからである。

おぞましい悪魔の姿、赤き眼光。
それはそれは忌まわしいはずなのに、その瞳の奥に感じる心は、
「愛した人間の男」のものと何ら変わらなかった。

人間の変装が解けて純魔に戻ったにもかかわらず、
エヴァが愛した存在は変わらずにそこにいた。
愛する人が正しき道を歩もうとしている、
それがこの瞬間エヴァが目にした「スパーダの本当の姿」だった。



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