261:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:19:40.86 ID:XVB8s0iW0
ただ幸い、状況を精査してみると、
友人もエヴァもみな危険はなさそうだった。
やはり賢者・魔女当局からの嫌疑は免れないものの、
世界の目による精神解析によって
彼らの無実が証明されうるからである。
そしてそのように危惧が一旦落ち着いたところで、
スパーダはようやくこの己の思考が意味するものを自覚した。
人間界と魔界、どちらにつくかという「選択」はすでに果たされていたのだと。
「心」はとっくに答えを出していた。
なにせ魔帝からの「伝言」を受け取った瞬間、
真っ先に考えたのは周囲の人間のことだったのだから。
彼は一切躊躇うことなく、
意識するまでもなく人間側に立っていた。
そして魔を裏切ったことに対する胸の痛みで、彼はこれまた自覚した。
とっくに果たされていた選択、それを自覚するのを避けていたのは、
この魔への同胞意識と郷愁のせいだとも。
選択しなければと思いつつも、
開戦までは選択しなくていい、できるだけ長く人と魔の両方と繋がっていよう、
そうどこかで我侭を抱いてしまっていたと。
313Res/336.05 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20