ダンテ「学園都市か」前時代史(仮)
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240:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:06:57.59 ID:XVB8s0iW0

そのように人間の要素を徐々に取り込むことで、
スパーダは他の悪魔には不可能な知見を獲得していくこととなった。
中でもとくに彼を興奮させたのは、もとい認識を改めることとなったのは、
先に人間界に抱いていた「散漫で濁った世界」という否定感だった。

その散漫さ、中でも人間の思念と感情の「不明確さ」こそが
むしろ人間の強さの一因だとスパーダは気づいたのである。

人間の思念や感情はきわめて強烈であるにもかかわらず、
それぞれの境界が不明瞭であり、溶けあって混沌としていた。
忠誠、大義、そして愛情といった要素が、
憤怒、憎悪、嫉妬などといった要素と同居しており、
また愛情と憎悪など、悪魔にとっては相反するはずの感情が
一つに溶け合ってしまうことさえしばしばあった。

これは悪魔の視点からすると実に奇妙だった。
思念や感情は、強ければ強いほど明確であり不変、
というのが魔族の普遍的な精神構造だったために。

そのような悪魔の価値観からすれば、
こうした人間の曖昧な感情は精神異常や虚弱の証だった。
なぜなら思念や感情は闘争行動に直結しており、
それが曖昧ということはまさしく「弱さ」だった。
だからこそ、スパーダも当初はこの世界に悪い印象を抱いたのだった。

だが人間世界では実のところ、それは逆に強さでもあった。
不安定さが彼らの思念や感情の強さにつながっていた。
思念や感情が大きく揺れ、その振り幅の大きさゆえに
反動で振り切った際には凄まじい衝動を形成したのである。



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