222:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 12:55:03.66 ID:XVB8s0iW0
そして彼女は大きな期待をうけ、
魔術の先端研究に専念することとなった。
その間、いくつかの悲しい出来事があった。
まず祖母が、大悪魔によって殺害された。
戦闘ではなく、契約の場における裏切りだった。
魔女の魂は美味だと悪魔の間では評判であり、
契約するそぶりを見せて喰らおうとする者も少なからずいた。
覇王の側近たるアスタロトなど、
非常に高位の存在までもがそのような悪辣な企てをしばしば行っていた。
またしばらくののち、もう一つの悲しみがあった。
母が老衰で生を終えたのである。
魔女の寿命は霊的な力次第であったが、
母はその魔女としての性質が弱く、「弱き人間」のように物質領域寄りだったため
肉体の老いによって寿命も定められてしまっていた。
そしてエヴァは最重要人物ゆえにヴィグリッドの外には出られなかったため、
母を看取るどころか葬儀すらできなかった。
だが彼女は、悲しみや不満によって任を滞らせることはなく、
逆にそれらを糧にしてさらに研究に没頭し、己の道を邁進しつづけた。
それが祖母や母へ向けた、
彼女ができる精一杯の弔いの形でもあった。
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