20:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 00:21:49.81 ID:XVB8s0iW0
『クイーンシバ』は、ジュベレウスと異なり
世界の修復等にはなんら興味を示さず、
指導者らしき振る舞いも一切とらなかった。
また常に現実表層に存在していたジュベレウスとはこれまた異なり、
彼女は表層に現れることなく虚無にて漂うだけ。
一応自我は有するものの、極端に非活動的だったため、
他者からすれば彼女は常に眠っているも同然なほどであった。
しかしただ一点、最終戦争についての態度は明確だった。
彼女は魔族に味方したのである。
クイーンシバは、原初OMNEの『闇』を構成していた部分である。
ゆえに闇の種たる魔族は、彼女にとって我が子そのものだった。
また同様の理由で、魔族にとっても彼女こそが真の創造主に相当し、
彼らから見ればクイーンシバこそ原初OMNEの正統なる継承者だった。
そのため魔族は必然的にクイーンシバのもとに集った。
そして流浪の神々がジュベレウスを戴いたのと同様、
彼らもクイーンシバを戴いた。
またクイーンシバ側も同様、母性によって彼らに闇の恩恵を授けた。
とはいえジュベレウスと異なり、
静的な彼女は闇の指導者にはならなかった。
代わりに巣立った子を見守る母のように、
闇の子らの所業すべてを愛し、容認し、望むがままにさせた。
クイーンシバは無制限の母性、
そして無制限の寛容によって魔族を支援したのである。
またオリジナルのOMNEたるクイーンシバが観測したことで、
それまで霧のように不定形だった闇領域は形を成し、
存在を確定させ、こちらも一つの世界として完成した。
魔族もついに種の存在基盤たる新故郷を獲得したのである。
こうして二つ目の世界、『魔界-インフェルノ』が誕生した。
そこは闘争と暴虐こそが正義とされる、
悪性の者にとっての楽園であった。
313Res/336.05 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20