177:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 12:29:48.75 ID:XVB8s0iW0
こうして得られた知見は、
魔帝にとって想像以上の収穫だった。
『無』の力を有しているかもしれないロキの行方は、
魔帝にとって長らく最大の問題であったが、
ここでついにその影を垣間見たかもしれなかった。
しかし事はそう簡単に進まないもの。
得られた情報はきわめて有益ながら、あくまで推測の材料どまり、
確証に至るほどではなかった。
魔帝が行ったのは所詮は魔女の記録の再分析、
『混淆』そのものを調べたわけではなく、調査にはやはり限界があった。
相手はロキなのかロプトなのか、それとも未知なる第三者なのか、
それらを明確にできるほどの情報までは得られなかった。
そもそも前提として、黒幕の存在自体を確定させる材料も厳密にはなく、
今のところはまだ推測を補強する程度でしかなかい。
明確な答えを得るには、もっと踏み込んだ手法が必要だった。
魔女の間接的な記録を調べるのではなく、
黒幕へと直接迫っていくような手法が。
だが黒幕がいたとしても、その潜伏先の手がかりも皆無。
魔帝自身が人間界に直接乗りこんで虱潰しに探す、
という強行的方法も論外だった。
前述のとおり、『無』を有するロキの状態が不明な以上、
直接乗りこむわけにはいかない。
そこで魔帝は考えた末、とある大胆な手法を選択した。
「挑発」して誘い出すことにしたのである。
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