174:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 12:28:21.94 ID:XVB8s0iW0
黒幕の尻尾を掴むにはやはり、
まずは『混淆』について分析する必要があった。
とはいえ、『混淆』を含む竜王の残骸はこの時期、
「魂の苗床」がある新人間界の底に埋め込まれてしまっていたため、
悟られずに直接調べるのは困難になっていた。
だがこれと並行して起きた事件、魔女のさらなる魔界傾倒が
この問題も解決させた。
悪魔と魂を同化させるほどに魔女が接近してきた今なら、
彼女たちが有している『混淆』の分析記録も
入手可能だと思われた。
当然、魔帝の要求に魔女側が素直に応じる、とはいかなかった。
それどころか魔女たちは徹底的に魔帝との接触を避けていた。
魔女が同化対象にしていた悪魔の条件の一つとして、
明確に反魔帝勢力であることを定めていたほどである。
魔女は魔界に傾倒したとはいえ、あくまで力を手に入れるためであり、
決して魔族の価値観を受容したわけではない。
そして最大目的も人間界の守護であり、
ゆえに全生命を脅かしうる魔帝ら侵犯者を
やはり最大脅威とみなしていたのである。
魔女が魔帝の交渉に応じることは決してない、そこで魔帝は一計を案じた。
まずは、『混淆』には魔帝の「創造」を機能不全に陥れる鍵がある、
そんな噂をあえて魔界内に流したのである。
OMNEの力なら同じOMNEの力に対抗できる、という道理で説得力もあったため
反魔帝の者たちがこぞって興味を示し、
記録を求めて魔女に接近する者も増えることとなった。
もちろん魔女側は慎重であり、
言い寄ってきた悪魔たち全てに『混淆』の記録を渡すことはなかった。
ごく一部の、信用できる少数の大悪魔にしか与えなかった。
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