172:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 12:27:27.16 ID:XVB8s0iW0
二つめは、魔帝は外部から観察していたという点である。
天界・人間界勢は混迷した渦中にあり、
竜王討伐と人間界の修復、魔女の強硬策といった問題に集中するあまり、
全体像や背景への認識が鈍ってしまっていた。
一方で魔帝は第三者として全体を俯瞰し、
客観的に観察できる立場にあった。
そして三つめは、魔帝が暴虐の権化たる存在だった点である。
それは、日々魔界にて反旗の種をあえて育てるという
騒乱のお膳立てを常とする魔帝だからこその感覚だった。
人間界の動向を観察していた彼は、
その不和が高まっていく様子に既視感を抱き、すぐに悟った。
竜王騒乱から始まった秩序崩壊、この見事なまでの混乱は、
実際に己のような「黒幕」が存在するのではないのかと。
この推測は、竜王がOMNEの力『混淆』を有していた事実も後押しとなった。
かの竜は、とても自力でOMNEの領域に達しえるような存在ではなく、
『混淆』は他者から与えられたと見るほうが道理に適っていたからである。
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