149:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 12:15:11.32 ID:XVB8s0iW0
2 オーディンの位相群
魔神オーディンの位相案は、
他の魔神たちが提示したものとは趣が異なっていた。
他者のものは、
「この件にもっとも最適な世界像」としての位相案であったが、
オーディンだけは適正で作ったものではなく、
彼女が「個人的にもっとも望む世界象」を提出したのである。
これは、彼女が胸に抱いていたある願望に由来していた。
魔神派全体としての最終目的は、
かつての全能性と故郷の旧世界を取り戻す、というものである。
ジュベレウスのもとに集い、魔族と戦ったことも、
そして天界勢力に属していることも、
全てはその最終目的のための過程にすぎない。
しかしオーディンにだけは、その最終目的よりも
さらにもう一歩踏み込んだ目的があった。
『とある少年』のために、その少年が生きた世界を回復させる。
それこそが彼女にとっての最終目的であり、
全能性と旧世界の回復もまた過程にすぎなかった。
そして、そんな彼女にとって今回の件は大きな誘惑に満ちていた。
もしかしたら、ここで願望を達成できるかも、と。
「とある少年の世界」を位相案として提示し、それが採用されたら、
そのまま「とある少年の世界」を再建できるかもしれないと。
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