134:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 01:21:42.74 ID:XVB8s0iW0
しかし、ここからはいささか予定外の事態となった。
竜王は自我を喪失してそのまま機能停止すると思われていたが、
実際には極度の暴走状態に陥ったのである。
これは想定以上に竜王の欲望、特に食欲が強かったせいだった。
自我を喪失した竜は、おぞましき食性のみに従い
人間界そのものを喰らおうとし始めたのである。
そこで魔神たちが事態収拾を試みた。
今や竜王は理性を失ったために
『混淆』を有効活用できなくなっており、式が壊されることもない。
そしてその障害さえ無ければ、
魔神たちにとって竜王など勝負にもならない相手であった。
それこそ魔神全員が手を出すまでもなく、オーディンが1人であっさりと封印した。
竜王の暴走はそれでも止まらなかった。
封印されて他に食す存在が無くなるや、今度は己自身に食指を伸ばしはじめた。
かの竜は狂気によって己を喰らいつづけ、
やがて活動不能なまでに損壊したところでようやく止まった。
残っていたのは喰らうための『顎』、食指たる『腕』、
そして食した存在を溜め込んだ『胃袋』だけ。
とはいえ、おぞましくも幸運なことに、竜王の生命力は異常なほどに強かった。
オーディンが封印を解いて確認するや、
魂は粉砕状態だというのに未だ生命を宿しており、
残された部位も活発に蠢いていたほど。
竜王を殺さずに無力化するという目的は
なんとか果たされたのであった。
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