涼宮ハルヒ「世界でたったひとりのキョンでしょ」キョン「……お前もな」
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名無しNIPPER
[sage saga]
2022/03/13(日) 22:10:57.16 ID:TNwFrV7EO
「はい。大事にしなさいよね」
言われなくてもそうするさ。腕に巻きつつ。
「いつか貰うから」
「……そのうちな」
時計に残るハルヒの体温が、むず痒かった。
「ところで、キョン」
「なんだよ」
「裏側に振り子みたいなのがあったけど、その時計は振り子時計なの?」
「まさか」
たしかに振り子は存在しているが、あれはあくまでも内臓されているゼンマイを巻くための機構であり、振り子で可動はしていない。
「へえ、ゼンマイ式なのね」
「俺も詳しいわけじゃないけどな」
「なら、腕につけておけば勝手にゼンマイを巻いてくれて動き続けてくれるってこと?」
設計思想的にはそうだろうが現実は厳しい。
「いや、たまに手動で巻かないと止まる」
現代の技術で作られた機構なら暫く保つかも知れないが、この時計は数日おきに手動で巻いてやらないと止まってしまうと思われる。
「じゃあ、たまに巻いてあげなさい」
「ああ」
「なんなら私が巻いてやるわ」
「お前が?」
キョトンと首を傾げるとハルヒは微笑んで。
「ついでにあんたのゼンマイも巻いたげる」
そう宣言して顔を近づけてくる。近い近い。
「な、何をするつもりだ?」
「私たちは時計と違って機械じゃない」
「だ、だから……?」
「だから、こうするのよ」
キスされる寸前。頬を掠めて耳たぶを噛む。
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