涼宮ハルヒ「世界でたったひとりのキョンでしょ」キョン「……お前もな」
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2:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/13(日) 22:06:31.84 ID:TNwFrV7EO
「男物の腕時計を女子がつけるのってありだと思うのよね。特にこういう無骨な時計は」

無骨で悪かったな。あまりギラギラしていたり高級な時計なんぞ。それこそ学校につけてくるには不相応だ。これくらいで丁度良い。

「不思議よね。電池式の時計が発明される遥か昔にこんな複雑な機構を思いつくなんて」

人類史には往々にしてあり得る話だ。産業革命以前の機械に頼らない技術は今となっては失われた。人間は常に楽をしたがるからな。

「もうこの時計は作れないのかしら」
「もっと複雑な機構ならまだしも、その程度なら昔よりもずっと簡単に作れるだろうよ」
「それはそれで虚しいわね」

現代の技術を用いて楽をすることを虚しいと涼宮ハルヒは表現した。たしかに虚しいかも知れない。だとしても、どれだけ楽をしても結果は同じであり、見る者に感動を与える。

「大量生産品だって悪くないさ」
「そうかしら」
「世界にたったひとつの物を腕に巻く度胸がある奴なんざ、よっぽどの金持ちくらいだ」

どれだけ金があったとしても俺にはそんな度胸はないだろうがね。するとハルヒは呟く。

「欲しければ手に入れるだけよ」
「ハルヒ……?」
「鑑賞してそれで満足なんて御免だわ」

そんな怒った口調で何故か悲しそうに主張するハルヒの真意が何なのかはわからないが、俺が地雷を踏んだことは間違いないらしく。

「複雑機構の仕組みはわからんが、それに惹かれるのはたぶん、魅力的だからだろうよ」

そう諭すとハルヒはじっと裏蓋から中身を見つめていた。テンプテーションなテンプを分解されるんじゃないかとヒヤヒヤしていると、ようやくこちらに時計を返却した。


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