8: ◆ivbWs9E0to[saga]
2022/03/06(日) 20:19:09.76 ID:NHAPh+ft0
「ロコも、エントランスのウォールでグラフィティしていたら、ちょっとルックアサイドした隙に、一瞬でクリアランスされていたことがあります」
「グラフィティってなんだ?」
「スプレーでウォールにペインティングすることですね」
9: ◆ivbWs9E0to[saga]
2022/03/06(日) 20:20:03.96 ID:NHAPh+ft0
むむむ……と手詰まりの様子の御三方。
ふふっ、ここはこのリリー警部の助言が必要でしょうか。
チラッ、チラッ。
目で訴えるも誰にも気付いてもらえません。仕方ないので声を張ることにします。
10: ◆ivbWs9E0to[saga]
2022/03/06(日) 20:20:44.52 ID:NHAPh+ft0
「え、オレ? 何すれば良いの?」
「ボールをウォールに向かってスロウすれば良いんじゃないですか?」
「そのボールが無くなったんだろ、何を投げれば良いんだよ」
再び私に皆さんの目が集まります。どうにも、注目を集めようとした時以外のタイミングで注目が集まるのは苦手です。しどろもどろになってしまいます。
11: ◆ivbWs9E0to[saga]
2022/03/06(日) 20:21:36.20 ID:NHAPh+ft0
「それでは、物を投げるのではなく、グラフィティを再現してみては如何でしょう」
「わぁ、倫理観がイーストエンド……」
「まぁ、琴葉と律子にバレなきゃなんとかなるだろ」
「うーん、今日のロコのモチベーションはオイルペインティングだったのですが……まぁ、スプレーを持ってきますね。……あれ?」
12: ◆ivbWs9E0to[saga]
2022/03/06(日) 20:22:14.55 ID:NHAPh+ft0
「こんなところに、ウォールなんてありましたっけ……?」
エントランスから入って右手側、ステージの脇を抜けて事務室へ向かう廊下。
そこに、私たちが良く知る廊下はありませんでした。
13: ◆ivbWs9E0to[saga]
2022/03/06(日) 20:23:15.94 ID:NHAPh+ft0
「まずい」
咄嗟にそう思いました。口にも出ていました。
すぐに左側の廊下も確認します。同じように壁で塞がっていました。
14: ◆ivbWs9E0to[saga]
2022/03/06(日) 20:23:58.58 ID:NHAPh+ft0
とりあえず皆で大扉の前に集まって、持っていたスマホの様子を確認します。
が、一種のお約束のように、全てのスマホが「圏外」の表示になっていました。昴さんとロコちゃんはすごく狼狽えていましたが、私は「きっとこういう状況なら圏外になっているだろう」と思っていたので、冷静沈着です。瑞希さんも冷静でした。まさかのライバル登場……?
そんな風に、一か所に集まって現状確認をしている時のことでした。
15: ◆ivbWs9E0to[saga]
2022/03/06(日) 20:24:38.43 ID:NHAPh+ft0
「ねぇ、何してるの……?」
不意に聞こえた声に、ロコちゃんが「ぴえっ!?」と鳴きます。
これには流石に私も瑞希さんも動揺を隠せないまま、声が聞こえた方向、つまりエントランス向かって左側の廊下があった場所に目線を向けると。
16: ◆ivbWs9E0to[saga]
2022/03/06(日) 20:25:21.06 ID:NHAPh+ft0
「誰って、げき子だけど……。百合子さん、それで、何の用……?」
「その前に望月さん、どうやってここに入ってきたのですか?」
「え、普通に歩いて……。あれ、壁がある……?」
「そんなこともあるよ。ね、杏奈ちゃん」
17: ◆ivbWs9E0to[saga]
2022/03/06(日) 20:25:58.63 ID:NHAPh+ft0
「私は、げき子。劇場を思う人々の夢のカケラが集まって生まれた、劇場の魂」
「ええぇぇぇヤバいよヤバいよ。オレ今の状況全然分かんないんだけど!」
「ロコもコンヒューズです〜! どういうことですかユリコ〜!」
「わ、わわわ私も全然分からないけど、でも、杏奈ちゃんが……!」
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