ドラ「のび太くんが」のび「ドラえもんが」「「消えた!!?」」
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12: ◆86inwKqtElvs[saga]
2022/02/10(木) 21:36:14.42 ID:7TpWqrtf0

 のび太は予感を抱えていた。
 あの頭脳明晰で運動神経も抜群な出木杉くんが、副リーダーをしている組織。
 そんな組織のリーダーは誰だろうか、というと……

「子供のころの僕とこうして会うと、なんだか不思議だね。毎回思ってたけど」

 大人の僕は、今までに出会ったどのボクでもない、諦めから来る優しさをその呑気な顔に浮かべていた。

「ここ、何? 説明してほしいよ」

「そうだね。最初からだとちょっと説明は長くなるけど、いいかい?」

 うん、と答えると、大人の僕は目を閉じて、言葉を選んでいる。

「ドラえもんと初めて会った時のこと、覚えているかい?」

「忘れるわけがないよ」

 いきなり机の引き出しから出てきて、餅だけ食べてその時はそのまま帰った。そのすぐ後に、孫の孫であるセワシと一緒に、改めてやってきて、このままだとジャイ子と結婚するんだけど、その未来を変える為にドラえもんがやってきたんだ。

「その時、僕はある質問をしたんだけど、覚えてる?」

「えっと……」

 過去を変えて、静香ちゃんと結婚したら、セワシは生まれなくなるんじゃないか、みたいなことを聞いた気がする。

「そうそう。セワシくんは乗り物で例えていたね。でももうちょっと違う例え方をするね」

 大人のび太は3Dホログラフを起動する。川の流れに小さな小舟がたくさん浮かんでいる。

「この川が、時の流れ。この舟一つ一つが、僕達の……意識、命、時の中で生きている者だと思ってほしい」

 小舟は川の流れに沿ってゆらゆらと浮かんでいる。一つの小舟が、やがて分かれ目にさしかかろうとする。そこがアップになり、ホログラフはいったん止まった。

「この舟は、どっちに行くと思う?」

「ん、こっちかな」

「どうして?」

「こっちの方が川が大きいから、なんとなく」

 大人のび太は頷くと、ホログラムを再開させる。のび太の言った通り、舟は大きな川の流れにそのまま流され、支流に流れることはなかった。

「時の流れってのは一つじゃないんだ。小さな支流がいくつもある。でもほとんどは、大きな本流に乗ったままなんだ」

「うん。ううん?」

 正直頭がショートしそうだった。ただ、大事な話なのは伝わってくるから、寝るわけにもいかない。

「ギガゾンビを覚えてる? ギガゾンビはね、この小さな支流を本流に変えようとしたんだ」

 小さな人形が川の流れをせき止め、無理矢理に新しい支流を作り、そこにたくさんの船を流し込もうとしていた。

「だからタイムパトロールは歴史改変の恐れがあるとして、ギガゾンビを逮捕したんだ」

 本流と無理矢理に作られた支流がぶつかり合い、渦を巻いている。その中に舟が一艘巻き込まれた。

「この渦が時空乱流、この舟がククルだよ。覚えているだろ?」

「忘れるわけがないよ」

 どんなに忘れんぼでも、友達のことは忘れない。絶対に。





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