キョン「分かち合うって、何を?」佐々木「世界の喪失の、哀しみを」
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3:名無しNIPPER[sage saga]
2022/01/16(日) 21:48:14.77 ID:xk4lsT1lO
「佐々木、訊いてくれるか?」
「もちろん。僕はキミの親友だからね」

俺は作品について佐々木に語った。その作品の魅力。どこに惹かれ、何を楽しんだのか。

ツンデレヒロインを守る少年のひたむきさ。
若さ故の過ちでドキドキハラハラする展開。
基本的に第三者視点で描かれるその作品は文法や書体は重要視せず、描写も細かくない。

けれど、読者が、まるでその場でやり取りを眺めているような、そんな没入感があった。
作者自身が自分の目で見たことを自分の感情を踏まえて伝えるような作風が好きだった。

そして現実に直面した俺の心境を吐き出す。

「俺はずっとあの作品を読んでいたかった」

ずっとずっと、シリーズが終わっても。外伝でもなんでもいいから存在して欲しかった。
なんなら、新シリーズも追いかけたかった。

「これを読んでみてくれ」
「これは?」
「俺が書いた」

スマホのメモ帳に、その作品の二次創作を書いてみた。けど、駄目だった。どれだけ作風を真似ても、どこか違う。別人でしかない。

「俺は、その作者には、なれない」

言葉に出すと諦めがついた。実に情けない。

「やれやれ。まったく我ながら愚かだよな」
「僕はキミを愚かだとは思わない。キョンがやろうとしたことは崇高であると僕は思う。けれど、キミのやろうとしたことが困難であることは確かだ。それは、不可能だと思う」

不可能だ。不可能だった。もう存在しない。


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