キョン「分かち合うって、何を?」佐々木「世界の喪失の、哀しみを」
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2:名無しNIPPER[sage saga]
2022/01/16(日) 21:44:53.18 ID:xk4lsT1lO
「なあ、佐々木……教えてくれ」
「僕に答えられることなら、なんでも」
「どうして世界は回り続けているんだ?」

俺は現実を受け入れられなかった。時が止まってもおかしくないと思うほどに、喪失してなお回り続ける世界に違和感を抱いていた。

「世界が回り続ける理由は、たとえばそれでも生きていかなければならないとか、後世に何かを遺し伝えるためだとか、そんな綺麗なものではなくただの惰性だと、僕は思うよ」

惰性。ならば、いずれは止まるのだろうか。

「回転が緩やかになると、誰かがまた勢いをつけて回してくれる。そうやってこの世界は回り続ける。そう考えるとロマンチックだ」

果たしてロマンチックだろうか。現実的だ。

「キョン。キミが止まりそうになったら僕がそっと背中を押してあげる。親友だからね」

そう言って労るように佐々木が背を撫でる。

「お前は優しいな」
「違うよ。僕はただ、キミの哀しい顔を見るのが堪らないから、だから自分のためだよ。あの作品が好きだったのも、キミが熱心を読んでいたから興味を持ったに過ぎない。言わば、それが僕の世界を回転させる原動力というわけさ」

自分のためにしたことで他人を救えるのならば、俺はそいつを尊敬する。偽善や自己犠牲を超えた救いがそこにはあり、嬉しかった。


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