馬場このみ「シクラメンの花の香」【ミリマスSS】
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3: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2022/01/06(木) 22:55:45.94 ID:dy8vOWdb0


 事務所を後にして外に出ると、日はすっかり暮れきっていた。通りを吹き抜ける風も冷たく、頬も思わずこわばる。

「ホント、冬になったわねえ」

「そうだな。ちょっと前まで、この時間は明るかったのに」

「それに東京はまた、日が暮れるのも早いからね」

「うん。地元はちょうど今くらいが日没じゃないか?」

「きっとね」

 私たちは山口の出身だ。しかも、同じ高校に通った同級生で、実家もお互い近いところにある、いわゆる幼馴染だ。話すと長くなるが、私たちは違う大学に進学したことを機に疎遠になっていたが、この765プロで偶然にも再会した。本来は事務員志望で応募したのに、社長の鶴の一声で私はアイドルになってしまった。そして彼は、アイドルである私の担当プロデューサーだ。おまけに、今住んでいる家も偶然、彼の家のすぐそばになってしまい、再び幼馴染のような関係まで復活した。

 どこで離れて、くっついたりするのかよく分からないから、人生というのはつくづく不思議なものだと思う。




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