馬場このみ「シクラメンの花の香」【ミリマスSS】
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13: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2022/01/06(木) 23:03:01.41 ID:dy8vOWdb0
「美味そうに飲むなあ」
Pがくすくすと笑う。
「アンタも飲む?」
「ええの? 正直、気になっとった」
「ええよ。というかこれは飲み。飲まんといけん」
お酒を注いで、彼の方へ猪口を置く。
「んじゃあ、俺のも飲んでみ。花の香も美味いぞ」
そう言って私は猪口を、彼はグラスを交換した。
グラスに入ったお酒を少し拝借する。名前の通り、お花のような瑞々しい爽やかな香りが広がる。
「んっ、美味しいっ」
旨味もあって味も濃く甘みもはっきりしているが、後味がすっきりしている。これは単体で飲んでも、食中酒でも十分楽しめるお酒だろう。
「……おおっ。これもまた、ええな」
彼は猪口を口元で傾けて、感心したように言った。
「やろ?」
「冷やで飲んでも美味かったもんな」
それから、お酒の器を互いに返した。
こういう時、間接ナントカがどうとか、そういうことを気にしなくなったのは、年を重ねたせいかもしれない。とはいえ彼とこうして交換して飲む際、全く意識をしていない、というわけでもない。それに、彼自身もどう感じているのだろうか、ということも気にならないわけではない。うん。
私は猪口にお酒を足して、くい、と飲んだ。
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